頭痛について ②

前回の続きで、頭痛を東洋医学の見地から見てみたいと思います。

 

 

 

東洋医学では、頭痛の原因を大きく3つに分けて考えます。

ひとつは外邪の影響を受けて現れるケース、もうひとつは気血の流れが悪くなって起こるケース、そして気血の不足が原因となるケースです。

 

 

…そんなこと言われても、なんのこっちゃ??ですよね。

 

 

ではひとつずつ説明していきますヽ(`∀´)ゝ

 

 

 

まずは外邪の影響を受けて現れるケースから。

 

 

これは簡単に言えば「外的(自然)環境の変化」によって引き起こされる頭痛です。

 

外的環境の変化によって体に不調を起こす因子のことを ‶ 外邪 ″ とか ‶六邪″ や ‶ 六淫 ″ なんて呼びます。外邪には「風邪(ふうじゃ)」、「暑邪(しょじゃ)・火邪(かじゃ)」、「湿邪(しつじゃ)」、「燥邪(そうじゃ)」、「寒邪(かんじゃ)」等があります。

 

 

うっかり風がよく当たるところに座っていたり寝てしまったりすることで、風邪が体に侵入し、気血の巡りが悪くなることで頭痛が起こります。

 

これは風邪の性質が「陽邪であり、陽位を犯し」ために起こります。

 

わかりやすく言いますと、風はヒューヒューとよく動き同じ場所に留まらず、上行しやすい特徴があります。動的な性格は陰陽で分けると「陽」に分類されるため「陽邪」となります。

そして、風邪は人体を上・中・下に分けたとき「上の部分=みぞおちから上の部分」を襲いますので「陽位を犯す」となり、頭痛や鼻づまり、のどの痛みなどの症状が現れやすいのです。

 

 

さらに風邪は他の外邪とともに合わさって侵襲することもあります。

 

寒邪 + 風邪で風寒頭痛。いわゆる風邪(かぜ)をひいた時の頭痛で後頭部から首にかけて痛みます。

 

湿邪 + 風邪で風湿頭痛。湿はべったりしたスライムみたいなものですから、頭重感を伴う頭痛がみられます。天気痛に多いのはこのタイプになります。

 

熱邪 + 風邪は風熱頭痛。熱っぽく張った感じの痛みで、インフルエンザの時の頭痛のイメージでしょうか。

 

 

 

では次に、気血の流れが悪くなって起こるケース、いってみましょう。

 

 

○「気」が滞る、ストレス頭痛

東洋医学の「肝」は蓄えた「血」を全身に送り、「気」を伸びやかに循環させる臓器です。頭痛は気血の流れが滞ることが原因のひとつとなるため、肝の臓の働きと頭痛には深い関わりがあります。

 

肝は人間関係やプレッシャーなど精神的なストレスの影響を受けやすく、そうしたストレスで肝に負担がかかると、エネルギーである気の流れが悪くなる「気滞」という状態になります。すると意思や感情のスムーズな流れが滞り、鬱々としたりイライラしたりするようになります。

 

気の巡りの停滞は熱を籠らせ、熱は上昇する性質があるため頭部に熱がたまり頭痛、目の充血、口の渇きなどが起こりやすくなります。

 

このタイプの頭痛は緊張したり、ストレスを受けると頭痛がしたり症状が悪化します。片側(両側の場合もある)が張ったように痛みます。その他、めまい、イライラ、不眠、胸や脇の痛みなどを伴うことが多いなどの特徴があります。

 

 

 

○胃腸の弱りによる頭痛

胃腸の弱りや、不摂生な食事も頭痛の要因のひとつです。こうしたことによって体内にドロドロの不要物(湿痰)がたまり、それが体質的に頭部に偏りやすいと、頭の気血の循環が妨げられるため頭痛が起こります。

 

このタイプの頭痛は、雨や湿気が多いと頭痛が起きたり痛みが増幅する、前頭部が重く痛む、お酒や脂っこいものを多く摂った日の後などに悪化しやすい、痰が絡みやすいなどの特徴があります。

 

 

 

○ドロドロ血で血液の流れが悪い、瘀血頭痛

食事の不摂生や冷え、過労でドロドロ血になったり、冷えや過労で血行が悪くなったりすることで頭痛が起こります。高血圧や糖尿病など慢性疾患を患っている方にも多く見られます。また外傷の後遺症としての頭痛の多くはこのタイプです。

 

このタイプの頭痛は、繰り返しやすく、なかなか治りにくい、慢性で痛む部位は固定している、刺すような痛みなどの特徴があります。

 

 

 

ここまでが気血の流れが悪くなって起こるものでした。

では最後、気血の不足が原因となるケースを見ていきましょう!

 

 

○脳の栄養不足による頭痛

脳に栄養が行かず、正常に機能しなくなることで頭痛が起こります。

 

東洋医学で脳は、血や精、そして気という栄養物質によって養われ、正常に働けると考えます。慢性疾患や過労、胃潰瘍などの慢性的なものも含めた出血、分娩、脾胃(消化器系)の不調などで体内の気や血が不足すると、脳も栄養不足の状態に陥ります。それが頭痛を引き起こす原因になります。

 

このタイプの頭痛は、疲労時に悪化しやすい、痛みはそれほど強くないが慢性的に痛む、その他、疲れやすい、顔の色つやが悪い、食欲不振などの症状を伴うことが多いなどの特徴があります。

 

 

 

○元気が足りない、エネルギー不足による頭痛

東洋医学が指す「腎」とは単に尿を作るだけでなく、生命力の源が詰まっている場所です。そして腎には脳を養う「髄(ずい)」が蓄えられており、脳の健康と深い関わりがあると考えます。したがって、腎の不調も頭痛の原因のひとつとなります。

 

このタイプの頭痛は、痛みは空虚な感じでそれほど強くはないが慢性的に痛む、その他、腰の痛み、耳鳴り(ジーという低い音)、疲れやすい、眠りが浅いなどの症状を伴うことが多いです。

 

 

 

長くなってしまいました…説明は以上です。

 

西洋医学の見方とは全く異なるので、「こんなのが頭痛の原因になるのか!?」と思われた方もいるかもしれませんね。

 

東洋医学では、頭痛は頭だけの問題ではなく、身体全体の不調と考えて対処します。頭痛の予防には自律神経を整えることや睡眠の質を高めること、ストレスをためないこと、バランスのよい食事を摂ることなど日常生活の改善が大切です。

 

そして鍼灸は全身のバランスを整えることにより、頭痛の起きにくい体質に改善することが可能です。つまり、根本からの治療ができるということなのです。慢性的な頭痛に悩まれている方は、試してみてはいかがでしょうか。