東洋医学

‏今日はコロナ、ではなく「凝るなぁ」のお話し。

 

そう、前回予告しておりました「肩こり」について書いていきたいと思います。

 

 

慣れない勉強のせいでしょうか…

鍼灸学校に通いだした頃からやたらと肩がこるようになりました。

肩こりの原因をネットで調べると、同じ姿勢、眼精疲労、運動不足、ストレスなどと書いてあります(当院の過去ブログにも原因が詳しく書いてありましたので、ぜひ読んでみてください)。

 

 

で、中医学では肩こりのメカニズムをどのように考えているのかというと、

 

 

中医学には「不通則痛(ふつうそくつう)」という言葉があります。これは血行不良などで起きる痛みのことを表しており、肩こりも血行不良により起こると考えます。

 

 

血行不良の要因は、ストレスや目の使い過ぎ、偏食や暴飲暴食、冷えなどが挙げられます。

 

 

ストレスを感じると、体内を回るエネルギーの巡りが悪くなるので、同時に血がスムーズに流れなくなります。また、目を使いすぎると血を消耗しますので、血の流れに勢いがなくなり血流障害が起きます。さらに暴飲暴食により体内に不要物がたまるとドロドロ血になって血行不良を引き起こします。冬の寒さや冷房などで冷えたり、また風邪の初期でも筋肉が収縮して血流を悪化させます。

 

 

このようにして、血が流れにくくなると痛みが起こり、それが肩で生じた時に肩こりとして感じるのです。

 

 

東西両医学とも肩こりを改善する上で最も重要なことは、血流をよくすることだ、と考えるようです!

 

 

 

治療法はたくさんありますが、私が始めたのは、ヨーガ。

 

 

なぜヨーガだったかというと、

 

・大きく分けて東洋医学に分類される(諸説あり)ため、中医学の考え方と似ている。

・運動はしたいけど、走りたくない(人には向き不向きがありますからね)。

・瞑想に興味があった。

・一番近所のヨガ教室が、イ “トーヨー” カドーの入るビル内にあった(これはもう呼ばれているな、と。(たぶんちがう))

 

なんともお気楽に始めた訳ですが

 

 

しかし、ヨーガの世界は奥深かったのです…

 

ヨーガの根本経典である『ヨーガ・スートラ』には八部門のヨーガというヨーガの実践段階が教えられています。細かい内容は省きますが、本来のヨーガの最終目標は「精神の止滅」だそうです。その方法論のひとつとして姿勢を整え、呼吸を整え、そして呼吸や身体が伸びていく感覚に意識を集中させていくことで雑念を止める、つまり現在という一点に意識を限局させていき「無」になることを目標とします。

それを達成すると、その瞬間にあらゆる苦悩から解放されるという。

 

 

で、やってみたところ意外にキツい。身体が硬いからかやたらと痛い時もある。そうとう巡りが悪いのでしょうね…特に痛いぞ、小腸経ライン、膀胱経ライン!!

 

 

 

 

 

 

勝手にちょいちょい 休憩 瞑想を入れつつ、みっちり1時間。

 

 

しかし、効き目は抜群で、レッスン後は頭の中も身体もすごくスッキリします。

肩こりが楽になっただけでなく、なんとなく全体の調子がよい感じ。朝いちばんに「今日も元気にいったろかい!」という気分になる。

 

 

こういう生きる力、元気を生み出す力というのは、西洋医学よりも東洋医学の得意とするところでしょう。

 

 

もちろん鍼灸治療も肩こりに有効であることは言うまでもありません。

 

 

が、

 

 

運動は肩こり解消のみならず、学習、ストレス、うつなどにも様々な効果を発揮します。デスクワークの多い人にとって、運動は水泳でもランニングでもラジオ体操でもよいと思いますが、ヨーガもおすすめです。一緒に運動習慣始めませんか?

 

 

 

最後までお読み頂きありがとうございます。

肩がこるといけないので、今日はこの辺で。ナマステ。

ここ数日は寒の戻りで寒い日が続いていますね…

 

 

…ん?!と思った方は大正解。

 

 

調べてみますと、「寒の戻り」は3月~4月の晩春にかけてつかう言葉なのです。

 

 

とにかくここ数日寒い日が続いておりますので、あいかわらずコタツムリ(コタツから出ずに一日を過ごす人「weblio より」)やっています。

 

 

今、コタツにもぐって観ているのは、先月19日からスタートしたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」。

 

 

主演の長谷川博己さん、ステキですよね~(´∀`艸)♡

少年のような表情を見せたかと思えば、ある時は知的な思慮深い雰囲気を醸し出す。

 

 

そんな長谷川博己さんが演じる、明智光秀ですが

 

 

ドラマが始まる前の印象というと、「敵は本能寺にあり」という名セリフがあるが、逆にいえばそれしか印象がなく、主君である織田信長を本能寺の変で襲った裏切り者。こんな人物に感情移入できるのか、さてさてどうなる、などと思っていたのです。

 

 

が!

 

 

前半生はよく知られていないものの、最新の歴史研究の成果では、どうやら医者だった可能性があるそうです。

 

 

この時代に行われていた医療は、一部オランダから外科の技術が入ってきていたとはいえ、漢方と鍼灸治療が中心でした。鍼灸師としては、作中に鍼灸治療のシーンが出てくるか、というところも楽しみに観ております。

 

 

あとは、今回の大河ドラマではカラフルな衣装も話題になっているのですが、公式サイトを見てみますと、五行思想を入れているというのです。

 

 

五行思想といえば、

 

 

そう!!

 

 

東洋医学の根本原理にもなっている思想です。

 

 

 

 

青は黄色を倒し、白は青を倒す・・・。

まだ企画の段階で、資料を読んだり、神社仏閣や由緒ある庭を見ていくなかで、当時の武士たちは風水の要素を取り入れていたことを再認識しました。

その中に「五行相剋(ごぎょうそうこく)」というのがあり、それは木(青)、水(黒)、火(赤)、金(白)、土(黄)の5つの要素が、お互いに影響し合っているというものです。たとえば、木(青)は土(黄)を倒し、金(白)は木(青)を倒すなど・・・。

明智家の家紋は水色桔梗です。光秀が青(水色)なら、信長は黄色、藤吉郎は白といった具合にキャラクターを色分けし、衣装の裏テーマとして「五行相剋」を取り入れました。ただ、土仕事が主の農民である藤吉郎が白ですから、衣装デザインをお願いしている黒澤和子さんには苦労をおかけしています(笑)。

(「麒麟がくる」公式サイトより)

 

なるほどね~

 

明智光秀(青)は織田信長(黄)を倒し、秀吉(白)に倒される。

 

明智光秀(青)は斎藤道三(黒)に育てられ、斎藤義龍(赤)を励ます。

 

織田信長(黄)は秀吉(白)を育て、秀吉は徳川家康(赤)に滅ぼされる。

 

 

他の登場人物の衣装の色も五行によっているそうなので、これを踏まえつつ、今後のストーリーの展開予想をしてみるのもおもしろいかもしれません。

 

 

 

 

ちなみに東洋医学では、五臓はこのように配当され

 

 

「肝」=「木」=「青」 成長 春

「心」=「火」=「赤」 盛り 夏

「脾」=「土」=「黄」 長夏

「肺」=「金」=「白」 収束 秋

「腎」=「水」=「黒」 蓄える 冬

 

 

たとえば、「火」は「木」を燃料として燃え、「土」は「木」に養分を奪われる、という五行論の原理から、「肝臓」は「心臓」の働きを促進し、「脾臓(消化器系)」の働きを抑制する、となります。

 

 

たしかに、感情(肝)が高ぶってくると、心臓がバクバク動悸しますし、強い感情にストレス状態になると、胃の具合が悪くなることがありますよね。このような感じで五行論を運用します。

 

 

 

さて、前置きが長くなりましたが、本当は肩こりの話を書きたかったのです。

ここまでブログを読んできて肩が凝ってしまった方、次回のブログを首を長ーーくして(キリンだけに)お待ちくださいね(。・ ω<)ゞてへ

今年もあとわずかですね!

 

皆さんは今年一年、どのような年になりましたか?

 

 

 

その年の世相を漢字一文字で表す、今年の漢字。

今年は新しい元号、令和の「令」の文字が選ばれました。

 

災害も多く大変な年であったので、去年に続き「災」の字が選ばれることを予想した方も多かったようですが、新元号に新たな時代の希望を託す人の方が多かったのでしょう。

 

 

 

さて、私個人の2019年の漢字を考えてみました。

 

 

 

私は…「肥」です。

 

体重の話ではありません!断じて!!(笑)

「肥やし」の年だったなぁ、という意味での「肥」です。今年は院内での勉強会も始まり、多くの知識や人に触れ、吸収し、肥やしにできた年でした。

今年蓄えたものを未来に活かして、さらなる成長を目指したいと思います。

 

ちなみに、夏に生まれました姪っ子ちゃんもモリモリ 肥え 成長しているようです(´∀`艸)♡

 

 

 

 

そして、院長にも今年の漢字一文字を聞いてみました。

 

ずばり、健康の「健」!!

 

健康でなければ良い治療はできない、という考えの元、自身の健康に向き合う1年だったから、だそうです。

 

これぞプロ意識というところでしょう!

昼食後、さっそうとウォーキングに出発する先生の姿を見送った後、グーグー寝ていた私。

…そりゃ、肥えますわねヾ(´ε`;)ゝ

 

 

 

今年一年、このブログを読んでくださる皆さまに支えられ、邱院長のサポートを受け、細々ながらブログを続けることができました。まことにありがとうございました!

 

来年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

皆さまにとって良い一年の締めくくりとなりますよう、そして、心身ともに健やかな毎日を過ごされますように。

先日、患者さまのおひとりが、「富士山が白く雪をかぶっているよ」と教えて下さいました。

 

 

 

富士山に本格的に雪が積もり始めるのは9月の末頃からだそうで、そこから徐々に雪を積もらせていき、冬の富士山らしい姿になってゆくそうです。

 

 

 

さて、今週12月7日から、二十四節気における「大雪(たいせつ)」に入ります。

 

「雪いよいよ降り重ねる折からなれば也」(「暦便覧」より)

 

山の峰は雪をかぶり、平地にも雪が降るころで、本格的な冬の到来を意味します。

 

 

 

白く雪化粧した富士山が見えたことからも、季節が二十四節気通りに循環していることを実感しますね。

 

 

 

季節の移り変わりは、人の身体にも影響を与える、ということは何度かブログに書いてきました。

 

 

 

そこで今日は、冬の風や寒さに影響を受けることでよく見かけるようになる症状「痹証(ひしょう)」について書いていきたいと思います。

 

 

 

 

 

「痹証」とは中医学的な言葉で、風、寒、湿などの邪が、虚に乗じて経絡に侵入し、気血を阻滞した状態をいいます。

 

わかりやすく言えば、風、寒、湿という外界の自然現象が邪(外邪)となって体の弱って抵抗力のないところにとりつき、人体の肌表、経絡、関節などを侵して気血の運行がスムーズでないか不通になる病態です。

 

その結果、筋肉、骨、関節のだるい痛み、痺れ、重だるさ、運動制限、腫脹などの症状が現れます。

 

 

 

西洋医学的には、関節リウマチ、慢性関節炎、坐骨神経痛、頚椎症、五十肩、筋肉痛、痛風、神経痛、ぎっくり腰などが相当します。

 

 

 

「痹証」は侵入する邪の種類によって「風痹(行痹)」「寒痹(痛痹)」「湿痹(着痹)」そして、これに「熱」を加えて「熱痹」の4つに分けられます。

 

 

行痹は、風邪によって経絡が侵襲されたものをいいます。風は動的・流動的・軽い性質がありますので、痛みの箇所は一定ではなく、あちこちの関節や筋肉に症状が出ることが特徴です。他の痹証に比べ、痛みはあまり強くありません。初期では悪寒、発熱、ゾクッとするなどの症状を伴うこともあります。治療方法は「去風通絡、散寒去湿」(入ってきた風邪を外に追い出し、同時に冷えと湿気を取り除く)

 

 

痛痹は、寒邪によって経絡が侵襲されたものをいいます。寒邪には引き締め、固まりやすい性質がありますので、血流を著しく停滞させ、ギュッと縮こまらせるために関節が引きつり、曲げ難く、強い痛みが感じられます。痛みの部位は固定し動かず、刺されるような鋭い痛みが特徴です。痛みや引きつりがあるところは、冷やすと悪化し、温めると楽になります。治療方法は「温経散寒、去風去湿」(経絡を温めて冷えをとり、同時に風と湿を取り除く)

 

 

着痹は、湿邪によって経絡が侵襲されたものをいいます。湿邪は粘着で停滞させる性質がありますので、関節が腫れて、重く感じ、動かしにくく、固定した箇所の痛みで、時に皮膚や筋肉が痺れる症状も見られます。局所に冷感がある場合があり、雨が降った時や湿気の強い時に悪化し、乾燥したところにいると楽です。治療方法は「去湿通絡、去風散寒」(湿気を取り除き、経絡を通し、同時に風邪と冷えを取り除く)

 

 

熱痹の症状は、熱症状です。関節や筋肉が赤く腫れ、熱感をもつ炎症症状がメインとなってきます。冷やすと症状が軽減するという特徴があります。治療方法は「清熱利湿、去風活血」(熱と湿気を取り除き、同時に風を取り除いて血流を良くする)

 

 

 

痹証には、西洋医学では完治困難な疾患に位置づけられるものも含まれていますが、東洋医学では、その原因・治療法はとてもシンプルに整理されており、鍼灸治療をすることで良い結果を得ることはあります。

 

しかし、前述しましたように、この病態は「初めに虚ありき。」の前提がある通り、こういった関節痛や神経痛を起こす方は元々の体質にトラブルの原因があることが多いです。

 

つまり、過労、加齢、睡眠不足、暴飲暴食や偏食などで体に弱りがある方は、外からのあらゆる刺激に弱くなり、普段は何ともないような気候の変化も邪として受け入れやすくなるので、普段の生活から注意することが必要です。

 

 

 

では、皆さま、冬の寒さにお身体冷やさぬよう、大雪に 大切になさって下さいませ。

おわり!

‌11月も後半になり、さすがに風が冷たくなってきましたね。

 

 

 

明日、22日から二十四節季における「小雪(しょうせつ)」に突入いたします。

色づいていた紅葉が落ち始め、山々ではチラチラと雪が降り始めるという意味です。

 

冬とはいえ、雪はさほど多くないということで「小雪」と呼ばれ、冬の入り口にあたります。

 

 

 

そして、季節の移り変わりに合わせて、人の身体も変化してゆきます。

 

昼夜や四季の周期に合わせた生活をすることが健康の基本ですから、暦を気にしてみることは、体調管理をする上で参考になりますよ!

 

 

 

さて、暦の上では冬の入り口を迎えますが、冬の訪れを告げる「木枯らし1号」は今年はまだ吹いていません。

 

平均すると大体11月7~8日頃に吹くことが多いようなので、今年はすでに記録的に遅い木枯らし1号となりそうです。自転車通勤の私としましては、休日に吹いてくれないかな…などと都合のいいことを考えてしまいますが(;´・Д・)

 

 

 

ちなみに「木枯らし」とは、

 

晩秋から初冬にかけて吹く、最大風速が秒速8メートル以上の北寄りの風のことで、この風が吹くことは、西高東低の冬型の気圧配置を意味するそうです。

 

漢字一字で「凩」とも表現します。「凩」は国字(日本製の漢字)で、「こがらし」以外の読みはありません。

 

 

 

知っている言葉でも、漢字で書かれると読めない、あるいは簡単な漢字で書かれているのに読めないものってけっこうありますよね?

 

 

 

ここで突然ですが、漢字クイズ!!

「風」関連のこれらの漢字、みなさまは読めますでしょうか?

 

問1)戦ぐ

問2)楓

問3)颪

 

 

 

正解は…コレだ!!

 

 

 

解答1)そよぐ

「風にそよぐ」は「風に戦ぐ」と書きます。

「そよぐ」とは「風に吹かれて草や木の葉などが、かすかに音を立てて揺れ動く」(「デジタル大辞泉」より)という意味です。

 

ちなみに「戦く」だと、読みは「おののく」となり、「恐ろしさ、寒さ、興奮のために体や手足が震える」という意味になります。

 

 

 

解答2)ふう

一般的には「かえで」と読みます。しかし本来の「楓」はマンサク科のフウのことを指しており、カエデ科のカエデとは別種です。フウも紅葉することから、昔の人の誤解が定着したそうです。カエデを表わす漢字は「槭(せき)」。皇居の吹上御苑にはフウの巨木があるそうですよ。

 

 

 

解答3)おろし

山から吹き下ろす風のことをいいます。群馬県の空っ風は赤城颪とも呼ばれますが、一番有名なのは「六甲颪」ではないでしょうか。阪神タイガースの球団歌がパッと浮かぶと思いますが、タイガースの歌を「六甲おろし」というのは通称で、正式には「阪神タイガースの歌」というそうです。そのまんまですね~

 

 

 

なんだか、11月は「風」関連のブログ記事ばかりになってしまいましたねヽ(´ε`●)ゞ

インフルエンザ流行のニュースも出ております、みなさま「風」邪にはくれぐれもご注意くださいませ!

前回、めまい・ふらつきは、内風と関係がある場合が多い、ということをお話ししてきました。

 

 

 

今回は、めまいの原因と発生のメカニズムにはどのようなパターンがあるかを見ていきます。

 

 

 

めまいは、中医学の教科書「針灸学[臨床篇]」によりますと、

 

「目がかすんで目の前が暗くなるのを「眩」といい、ぐるぐる物が回って見えたり、物が揺れ動いて見えるものを「暈」という。この2つはよく同時に起こるので「眩暈」と称している」

 

とあり、

 

 

 

眩暈の起こるメカニズムとしては、

 

1、肝陽亢進

2、痰濁

3、気血両虚

4、腎精不足

 

の4つの分類が挙げてあります。

では、これらを解説していきます!

 

 

 

1、肝陽亢進

東洋医学の古典である「黄帝内経(こうていだいけい)」の中に「諸風掉眩、皆属於肝」との記載があり、これは「風によって引き起こされる症状は、ほとんど肝の臓に関連しますよ」という意味になります。

 

ならば、肝の臓の働きから説明しなければなりませんね!

やはり異常を知るには、正常を知ることが大切です。

 

東洋医学の肝の作用は①血を貯蔵し調節する「蔵血(ぞうけつ)作用」と②気を全身にまんべんなく巡らせる「疏泄(そせつ)作用」の二つがあり、体をのびのびした活動へと導く働きをすると考えます。そして、気を順調に巡らせることによって、ストレスから身を守る盾のような働きをしてくれています。これも疏泄作用によるもので、気が順調に流れていれば、身体の中に流れ込んできた嫌なことも病原体もすぐに体外へ排泄できるというわけです。

 

しかし、ストレスが長期間続いたり、許容範囲を超えた強いものであった場合、肝に変調をきたし、疏泄作用の低下が起こります。すると、気が身体を巡ることが出来ずに滞り(気滞)、滞った気から熱が生じます(火化)。というのも、気は活発に動き、本来熱を帯びたものだからです。自然界の法則では火(熱)は炎上性があり、風を生みます。すると頭痛、ほてり、めまい、けいれんのような上半身に熱がこもったような症状、さらには震えるような症状が出現しやすくなります。この気の上昇がもっとひどくなると、“中風”つまり脳卒中を起こすとされます。

 

特徴は、ストレスや情緒変動が引き金となって生じやすく、頭痛や耳鳴りを伴うことが多い等です。

 

 

 

2、痰濁

東洋医学における脾の臓は、胃とともに消化吸収を担い、エネルギーである気や血のもとの物質を作り出し、それらを全身に送り出す働きをしています。これを「運化(うんか)作用」といいます。体に必要な飲食物中の水分を吸収調節するのも運化作用の役割です。

 

飲食の乱れや水分摂取の過多などで、脾の機能が低下すると、水分が吸収されないでそのまま排泄されたり(下痢)、吸収された水分が運ばれず体内に停滞してドロドロの不要物である「痰湿」を生み出します。痰湿は気に伴って動くため、内風や火熱とともに頭部に上昇して耳付近で停滞すると、現代医学的疾患でいうリンパ水腫と同じ状態となり、メニエール症候群の症状(回転性めまい、嘔吐、耳鳴り)を呈します。

 

特徴は、吐き気や頭重感など湿っぽい症状を伴うことです。

 

 

 

3、気血両虚

東洋医学で脳は血や精や気という栄養物質によって養われ、正常に機能していると考えます。ですから、出血(吐血、下血、女性の不正出血)や胃腸の弱りなどにより栄養やエネルギーが吸収されなかったり、過労によってエネルギーや栄養を消耗しすぎていたりすると、栄養を運搬する気の力が弱まり栄養を頭部まで押し上げられなくなります。すると脳は栄養不足で機能低下をおこし、めまいが出現します。

 

特徴は、疲れた時や急に立ち上がった時にめまいやふらつきが起こりやすいことです。

 

 

 

4、腎精不足

腎には、脳を養う「髄」が蓄えられています。過労や加齢、慢性的な疾病によって腎が弱ると、髄が不足するため脳の機能低下が起こります。その結果めまいが出現します。

 

特徴は、健忘や判断能力の低下、聴力の低下などを伴いやすいことです。

 

 

 

10月から始めた「めまいシリーズ」でしたが、今日はもう11月も半ばヽ(゚Д゚;)ノ!!ハヤッ

台風の話をしていたのに、木枯らしの吹く季節ですね。厳しい冬の到来も間近に迫っています。ここでもう一度生活を見直し、風にも揺るがぬ丈夫な身体を作りましょう!

完。

前回までは、回転性のめまいは内耳と関係があり、浮動性のあるめまいは中枢神経系と関係がある、というお話をさせて頂きました。

 

 

 

今回からは「めまい」を東洋医学の見地から見てみます。

ではさっそく始めます!!

 

 

 

東洋医学では、めまいのような揺れ動く症状は、病邪のひとつである「風邪(ふうじゃ)」によるものと考えます。“邪”とはなにか?といいますと、本来、正常だったものが、異常に強く盛んになったものをいいます。

 

 

 

「風」でいえば、普通に吹いている風は何の問題もないのですが、異常な風、例えば季節に反した風が吹いた時や竜巻や台風などの強すぎる風などは、人体に害を及ぼす風、つまり「風邪」となります。この風は体の外側から人体を襲いますので「外風(がいふう)」と呼びます。

 

 

 

そして「外」があるなら「内」がある。

 

 

 

「自然界でおこる現象は、人間の身体にもおこる。」というのが東洋の発想ですから、人間の体内でも風が生まれることがあり、そのため風が吹いたような症状がおこる、と考えます。体内で生まれて内側から影響を及ぼす風なので、こちらを「内風(ないふう)」と呼びます。

 

 

 

内風が吹いたらどうなるのか?

 

 

 

日常感じている自然現象の性質は、そのまま邪の性質と症状になりますので、まるで風が木々を揺らしたり大地を吹き抜けたりするかの如く、人体にしびれ、けいれん、ふるえ、めまい、などの実際に体が動いたり、動くような感覚のある症状が出現します。

 

 

 

そして、内風があると外風の影響を受けやすくなりますので、風の強い春や大きな気圧の変化がおこる台風の時期はよりめまいを感じやすくなるのです。

 

 

 

今回はここまで。

前回の続きですね

どうしてめまいが起こるのか、について書いていきます。

 

 

 

…ですが、その前に

 

 

 

まずは異常を知るには、正常を知ることから始めたいと思います。

 

 

 

頭が今どういう位置にあり、どういう動きをしているかを感じるセンサーは、左右の耳の奥の内耳にあります。

 

~めまいのQ&Aより~

カタツムリによく似た姿のこの装置は「半規管」「平衡斑」「蝸牛」という三つの部位の集合体です。このうち「蝸牛」は音を聴く装置なので「半規管+平衡斑」を合わせたものが平衡感覚のセンサーです。

センサーでキャッチした情報は「前庭神経」を通って小脳や橋や大脳へと伝えられます。小脳では①内耳のセンサーでキャッチした位置情報 ②視覚からの情報 ③筋肉や関節で感じる感覚 を統合整理して、最も適切な運動や姿勢をとるよう指示し、制御します。

この仕組みによって身体のバランスが保たれているのです。

 

 

 

正常な平衡感覚コントロールが分かったところで、次に異常を見てみましょう。「めまい」は、このバランスを維持するシステムのどこかに異常やズレが生じることにより起こります。

 

 

 

そのパターンとしては、

 

①センサーである内耳に異常が生じる

②センサーと脳をつなぐ神経に異常が生じる

③情報を統合して平衡感覚をコントロールする脳に異常が生じる

 

などが挙げられます。

 

 

 

そして、めまいを引き起こす原因がどこにあるのかで症状の出方が変わります。

 

 

 

情報を統合する脳は、頭のまんなかに存在します。これに対して、センサーは両耳の中にあり、センサーと脳は神経でつながっているので、センサーと神経は左右それぞれにあります。

センサーと神経はたいていどちらか一方に異常が起こります。この時起こるのが「回転性のめまい」となります。回転性めまいの場合は、内耳や神経の異常が考えられ、ほとんどが生命の危険がないめまいですが、なかには急性の脳卒中で起こるものもあります。

 

一方、脳は頭のまんなかにあって、左右からの情報を同時に制御しています。ですから、脳に異常が起きた場合は、左右ともいっぺんに異常が出たのと同じ状態となり、この時に起こるめまいが「浮動性のめまい」または「前失神」となり回転は伴いません。

 

 

 

回転性めまい、浮動性めまい、前失神などをきたしうる疾患は前回の記事にあげたものがあります。

 

 

 

 

めまいは比較的よく遭遇する病態ですが、なかには命に関わる危険なものも存在しますので、意識を失う、ふるえやしびれがある、麻痺がある、などの神経症状と一緒にふらつきが起こった場合は、脳の異常が原因の危険なめまいが疑われるので注意が必要です。

 

 

 

これで西洋医学的なめまいに関しては以上となります。

次回からは東洋医学的にみた「めまい」について書いていきたいと思います。

 

続く。

秋になり、世間を騒がせている台風さん。

台風15号、19号は関東に上陸した台風としては過去最強クラスだったそうで、各地に大変な被害をもたらしました。

 

 

 

かつては熱帯で生まれていた台風ですが、地球温暖化の影響で海水温が上昇したことに伴い、日本近海で生まれるようになり、近いとその分パワーも強力となるので、過去にはなかったような被害を出すのだとか。

 

 

 

台風ひとつ取っても、未曾有の気候変動を受けていることがわかりますね。

 

 

 

ところで、東洋医学では“天人合一思想”というものがあり、天(自然)と人間の間には相関関係がある、というように考えます。

 

 

 

もちろん、台風も例外ではありません。

 

 

 

吹き荒れる風をもたらす台風は、人間の身体にも風が吹いたような症状を引き起こすことがあります。

 

 

 

どのような症状が特徴的かというと、主に、めまい、ふるえ、ひきつり、しびれ、など風の動的な性質を表わすような身体の全部、または一部が動いてしまう症状が挙げられます。

 

 

 

心当たりのある方もいらっしゃるのではないでしょうか(-ω- ?)

 

 

 

そこで今回は、この時期起こりやすい「めまい」について取り上げたいと思います。

 

 

 

まず初めに、西洋医学における「めまい」から見ていきましょう。

 

 

 

 

めまいは、広辞苑によると「目眩・眩暈:目が回ること、目がくらむこと。げんうん」と定義されています。ひとくちに「めまい」といっても複数の意味、異なった症状が含まれています。

 

 

 

ではどのようなパターンがあるのかといえば、大きく分けて3つ。

 

 

 

まずひとつめは「回転性のめまい」

自分や周囲のものがグルグル回っているような感覚に陥るめまい。吐き気を催すこともあります。(良性発作性頭位めまい(BPPV)、メニエール病、急性中耳炎、前庭神経炎、突発性難聴、椎骨動脈や脳底動脈の梗塞による循環障害(つまり脳卒中の一種)

 

ふたつめは「浮動性のめまい」

体がふわふわ、ふらふらした感じがして、まっすぐ歩けない、足元がおぼつかない、というめまい。(小脳や橋の腫瘍や変性や炎症、脊髄や末梢神経全体の異常(深部知覚障害)

 

そしてみっつめは「前失神(立ちくらみ)」

しゃがんでいて急に立ち上がると、クラッとするめまい(起立性低血圧、脱水、不整脈、心不全などによる一過性脳虚血発作(TIA)、低血糖や低酸素

 

 

 

 

では、「めまい」はどうして起こるのでしょうか?

 

 

 

…長くなりそうなので、次回に続く!でゎ|゚∀゚)ノ)))) ババーィ |)≡サッ

前回の続きで、頭痛を東洋医学の見地から見てみたいと思います。

 

 

 

東洋医学では、頭痛の原因を大きく3つに分けて考えます。

ひとつは外邪の影響を受けて現れるケース、もうひとつは気血の流れが悪くなって起こるケース、そして気血の不足が原因となるケースです。

 

 

…そんなこと言われても、なんのこっちゃ??ですよね。

 

 

ではひとつずつ説明していきますヽ(`∀´)ゝ

 

 

 

まずは外邪の影響を受けて現れるケースから。

 

 

これは簡単に言えば「外的(自然)環境の変化」によって引き起こされる頭痛です。

 

外的環境の変化によって体に不調を起こす因子のことを ‶ 外邪 ″ とか ‶六邪″ や ‶ 六淫 ″ なんて呼びます。外邪には「風邪(ふうじゃ)」、「暑邪(しょじゃ)・火邪(かじゃ)」、「湿邪(しつじゃ)」、「燥邪(そうじゃ)」、「寒邪(かんじゃ)」等があります。

 

 

うっかり風がよく当たるところに座っていたり寝てしまったりすることで、風邪が体に侵入し、気血の巡りが悪くなることで頭痛が起こります。

 

これは風邪の性質が「陽邪であり、陽位を犯し」ために起こります。

 

わかりやすく言いますと、風はヒューヒューとよく動き同じ場所に留まらず、上行しやすい特徴があります。動的な性格は陰陽で分けると「陽」に分類されるため「陽邪」となります。

そして、風邪は人体を上・中・下に分けたとき「上の部分=みぞおちから上の部分」を襲いますので「陽位を犯す」となり、頭痛や鼻づまり、のどの痛みなどの症状が現れやすいのです。

 

 

さらに風邪は他の外邪とともに合わさって侵襲することもあります。

 

寒邪 + 風邪で風寒頭痛。いわゆる風邪(かぜ)をひいた時の頭痛で後頭部から首にかけて痛みます。

 

湿邪 + 風邪で風湿頭痛。湿はべったりしたスライムみたいなものですから、頭重感を伴う頭痛がみられます。天気痛に多いのはこのタイプになります。

 

熱邪 + 風邪は風熱頭痛。熱っぽく張った感じの痛みで、インフルエンザの時の頭痛のイメージでしょうか。

 

 

 

では次に、気血の流れが悪くなって起こるケース、いってみましょう。

 

 

○「気」が滞る、ストレス頭痛

東洋医学の「肝」は蓄えた「血」を全身に送り、「気」を伸びやかに循環させる臓器です。頭痛は気血の流れが滞ることが原因のひとつとなるため、肝の臓の働きと頭痛には深い関わりがあります。

 

肝は人間関係やプレッシャーなど精神的なストレスの影響を受けやすく、そうしたストレスで肝に負担がかかると、エネルギーである気の流れが悪くなる「気滞」という状態になります。すると意思や感情のスムーズな流れが滞り、鬱々としたりイライラしたりするようになります。

 

気の巡りの停滞は熱を籠らせ、熱は上昇する性質があるため頭部に熱がたまり頭痛、目の充血、口の渇きなどが起こりやすくなります。

 

このタイプの頭痛は緊張したり、ストレスを受けると頭痛がしたり症状が悪化します。片側(両側の場合もある)が張ったように痛みます。その他、めまい、イライラ、不眠、胸や脇の痛みなどを伴うことが多いなどの特徴があります。

 

 

 

○胃腸の弱りによる頭痛

胃腸の弱りや、不摂生な食事も頭痛の要因のひとつです。こうしたことによって体内にドロドロの不要物(湿痰)がたまり、それが体質的に頭部に偏りやすいと、頭の気血の循環が妨げられるため頭痛が起こります。

 

このタイプの頭痛は、雨や湿気が多いと頭痛が起きたり痛みが増幅する、前頭部が重く痛む、お酒や脂っこいものを多く摂った日の後などに悪化しやすい、痰が絡みやすいなどの特徴があります。

 

 

 

○ドロドロ血で血液の流れが悪い、瘀血頭痛

食事の不摂生や冷え、過労でドロドロ血になったり、冷えや過労で血行が悪くなったりすることで頭痛が起こります。高血圧や糖尿病など慢性疾患を患っている方にも多く見られます。また外傷の後遺症としての頭痛の多くはこのタイプです。

 

このタイプの頭痛は、繰り返しやすく、なかなか治りにくい、慢性で痛む部位は固定している、刺すような痛みなどの特徴があります。

 

 

 

ここまでが気血の流れが悪くなって起こるものでした。

では最後、気血の不足が原因となるケースを見ていきましょう!

 

 

○脳の栄養不足による頭痛

脳に栄養が行かず、正常に機能しなくなることで頭痛が起こります。

 

東洋医学で脳は、血や精、そして気という栄養物質によって養われ、正常に働けると考えます。慢性疾患や過労、胃潰瘍などの慢性的なものも含めた出血、分娩、脾胃(消化器系)の不調などで体内の気や血が不足すると、脳も栄養不足の状態に陥ります。それが頭痛を引き起こす原因になります。

 

このタイプの頭痛は、疲労時に悪化しやすい、痛みはそれほど強くないが慢性的に痛む、その他、疲れやすい、顔の色つやが悪い、食欲不振などの症状を伴うことが多いなどの特徴があります。

 

 

 

○元気が足りない、エネルギー不足による頭痛

東洋医学が指す「腎」とは単に尿を作るだけでなく、生命力の源が詰まっている場所です。そして腎には脳を養う「髄(ずい)」が蓄えられており、脳の健康と深い関わりがあると考えます。したがって、腎の不調も頭痛の原因のひとつとなります。

 

このタイプの頭痛は、痛みは空虚な感じでそれほど強くはないが慢性的に痛む、その他、腰の痛み、耳鳴り(ジーという低い音)、疲れやすい、眠りが浅いなどの症状を伴うことが多いです。

 

 

 

長くなってしまいました…説明は以上です。

 

西洋医学の見方とは全く異なるので、「こんなのが頭痛の原因になるのか!?」と思われた方もいるかもしれませんね。

 

東洋医学では、頭痛は頭だけの問題ではなく、身体全体の不調と考えて対処します。頭痛の予防には自律神経を整えることや睡眠の質を高めること、ストレスをためないこと、バランスのよい食事を摂ることなど日常生活の改善が大切です。

 

そして鍼灸は全身のバランスを整えることにより、頭痛の起きにくい体質に改善することが可能です。つまり、根本からの治療ができるということなのです。慢性的な頭痛に悩まれている方は、試してみてはいかがでしょうか。